2021年08月29日
指導者の固定観念を
長年一つのことを指導し続けていると「〜の仕事はこうであるべきだ」という固定観念に縛られてしまう指導者の方々も多いのではないでしょうか。あるいは、この仕事はこうあるべきだという業界で長年かけて伝えられてきた常識や定石に無意識のうちに頭の中が支配されてしまうこともあることでしょう。もちろん、その固定観念や常識にピッタリと合う選手がいればそれでいいのかもしれませんが、チームの構成上でどうしてもそのようにはいかないケースも出てくるのではないかと思います。そうなった時に、出てくる問題が『その仕事に選手を合わせさせる』のか『その選手の個性でその仕事を進めさせる』のかという問題です。そこで大切になるのはその仕事の常識や定石を一度排除してまっさらにして、その仕事の目的は何かをシンプルにしてみることです。野球選手の場合は例え打順がどうであれ、塁に出ることが一番の目的です。塁に出なければ得点には繋がらないのですから。では、塁に出ることが目的であるとするならば、そのためにどうするのかというのは手段になります。そう考えてみるとその手段はその任せる選手の一番得意な手段が何よりも大切になるはずです。無理に常識や定石に合わせさせて、その手段がその選手に合わなければそれこそ本末転倒になってしまうということです。「一番打者は相手投手に球数を投げさせる」というのは、本来は目的ではなく塁に出る目的のための一つの手段でしかないということです。こうした手段が目的にすりかわってしまうことで結果として指導者にも選手にも迷いや不安を生じさせてしまっているのです。指導者に求められるのは常に目的と手段を間違えないようにして、目的を明確にすることなのです。そしてその目的を達成するための一番効率的かつ効果的な手段を示唆していくことです。そうなると必然的にその選手の一番得意な個性をその仕事の中で生かしてもらうようにするという考え方に思い至るのではないかと思います。