2022年07月23日
敵を知る
不安定な状況に人は置かれてしまうと、不安定な状況ばかりに意識が向いてしまい、不安定の原因にも、不安定な状況が及ぼす心の不安の原因などになかなか意識が向きません。漠然と不安定に漠然とした不安を抱えているのです。それがさらに不安を拡大させていたりもします。スポーツ選手でもスランプになった時に、「何か調子が悪い」と口にします。それが心にも影響して「今日の試合で結果を残せなかったらどうしよう」という不安に煽られてしまうのです。これは一番怖いことなのです。仮に今の不調の原因は〜だと分かっていれば、それだけで不安の大半は収まります。さらには〜の問題を解決するためにはこれをやればいいという道筋さえ立てることができれば、あとはその道筋を懸命にやるだけになるので、不安がどうこうと言っている暇さえなくなります。これは病気などでも同じです。懇意の大学病院のお医者さんと話をした折に「大学病院に検査に来る患者さんの多くは原因が分からないんです。それは不安ですよね。でも、原因が分かると多くの方はホッとした表情になるんです」と話されていました。そのお医者さんは自分の仕事は原因を見つけて解決方法を提示することですと。あとは患者さんの自己治癒力ですと。しかし、不安が不安がかなり軽減されると面白いもので前向きな気持ちになり自己治癒力は高まっていくものなのです。このように不安というのは、原因が分からない不調から生じて、原因が分からないまま不調の状態が続くことでどんどんと膨らんでいくのです。そうなると負のスパイラルに突入していってしまいます。そもそも人は得体の知れないものに不安を感じやすいのです。変な例えですが幽霊がいるかどうかは別にして、正体が見えないから恐怖や不安になるのです。コロナウィルスにしてもそうです。正体が分かり治療法が分かることで社会的な不安は大きく減少していくのではないかと感じます。要は不安定な状況そのものが不安というよりも、不安定の原因や対処法が漠然としているからこその不安を抱えている方も多いのではないかと思うのです。それくらい敵を知るというのは大切なことです。そのためには、目の前の表面的な不安定の状況ばかりに目を向けるのではなく、その原因という深層的な部分を探求していく習慣が必要になっていきます。