2022年08月09日

柔軟性

凄く記憶に残る一つのシーンが思い浮かびます。指導していた一人の柔道選手。彼の哲学はずっと小さな頃から一本勝ちにこだわるというものでした。しかし、オリンピックの準決勝で足を痛めてしまいました。その不安定な状況の中で、彼が選択したのは金メダルのためにはポイント勝ちに切り換えるというものでした。小さな頃からこだわりを捨てて戦い方を柔軟に変更したのです。柔よく剛を制すという言葉があります。剛には剛の強さがありますが、少なくても不安定な状況においては、柔の持つ強さが際立つように感じます。不安定な状況というのはある意味で先行き不透明ということでもあります。不透明な時にはその状況、状況に柔軟に対応できる方が安定感を保っていけるはずです。良い意味での変化していける力と言えるでしょう。心の柔軟性は心のバランスを保っていく上でとても大切な要素になります。この心の柔軟性を失わせてしまうのが、強い思い込みや強い執着心や義務感だったりするのです。強い思い込みがあると『これは〜に違いない』となるし、強い執着心があると『これは〜するしかない』となるし、強い義務感があると『これは〜すべきだ』となるのです。そうなると不安定な状況であってもそうした思考に縛られてしまって、心が頑なになってしまうのです。そうなってしまうと状況に応じた順応性や柔軟性が失われてしまうのです。そうなると状況と自分自身の心の中にどんどんズレや葛藤が生まれてきて、心は不安定感を増幅させていくことになるのです。そうは言ってもただ、状況に応じて節操なくコロコロ変えていけばいいというものではありません。イメージ的には水のような感じです。水は液体ですから柔軟です。寒くなれば氷になるし、暑くなると水蒸気になります。柔軟に変化はしていても、その本質は水であることに変わりはありません。ここが大切なのです。本質がブレてしまうと、それはそれで自分が何をやっているのか分からなくなり心は迷走してしまいます。心もそのような決して本質はブラさない柔軟性を持ちたいものです。不安定な時こそ、こうした心の柔軟性を持っていくことを意識して心がけていきたいものです。心が柔軟になれば、いかなる状況も柔軟に受け止めて、柔軟に行動にも移していけるようになります。変化することを不安に感じる必要はありません。大きな意味で誰もが時代によって生活のあらゆることを変化させてきているのですから。
posted by Takahata at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする